「絶対に間違えない投資家など存在しない。だからこそ分散投資が必要なのだ」
米国株が世界の株式市場の時価総額の過半を占め、多くの投資家のポートフォリオがS&P 500に過度に依存している現在。グローバル投資のパイオニアであるジョン・テンプルトン卿のこの言葉は、我々にポートフォリオの脆弱性を問いかけている。
一国への集中投資は最大のリスク
テンプルトンは、アメリカの投資家が国内の株式しか買わなかった1950年代に、いち早く日本の高度経済成長を見抜き、日本株に大規模な投資を行ったことで知られている。彼にとって、投資先を自国に限定することは自らチャンスを捨てるだけでなく、不必要なリスクを背負い込むことと同義だった。
分散投資は、無知に対する唯一のヘッジである。すべてを知っている人間などいないのだから、投資先は国、産業、企業規模にわたって広く分散させるべきだ。
2026年現在、米国市場のバリュエーションは歴史的な高水準にあり、一方で新興国や欧州、そして一部の日本株には依然として割安な銘柄が放置されている。テンプルトンの視点に立てば、これは「米国から資金を引き上げ、より価値のある海外市場へ再配分する」ための絶好のシグナルと言える。
米国株のパフォーマンスが他国を圧倒する時代が長く続いたため、「米国株のインデックスファンドを持っていれば十分だ」という単一国集中投資が常識化してしまった。しかし、歴史を振り返れば、アメリカ市場が数十年にわたって低迷した時期も確実に存在する。
テンプルトンが言うように、我々は未来を完璧に予測することはできない。だからこそ、通貨、地域、資産クラスを分散させることで、いかなるマクロ環境の変化にも耐えうる「全天候型」のポートフォリオを構築する必要がある。
視野を広げ、世界中でバーゲンを探す
テンプルトンの投資手法の真髄は、「世界中をくまなく探し、最もお買い得なものを見つける」というシンプルなものだ。彼にとって国境は意味を持たなかった。
「特定の国がダメだから」と悲観するのではなく、「A国がダメなら、必ずB国にチャンスがある」と考える。このグローバルな視野こそが、彼を20世紀最も成功した投資家の一人へと押し上げた。
現在のポートフォリオを見直し、過度な米国株への偏重がないか。そして、世界に目を向けたとき、見落とされている「バーゲン」はどこにあるのか。テンプルトン卿のグローバル投資哲学は、今まさに再評価されるべき時を迎えている。