「強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、陶酔の中で消えていく」

投資の世界で最も有名であり、そして最も実践することが難しい格言の一つだ。この言葉を残したジョン・テンプルトン卿は、20世紀最高のストックピッカーの一人として知られている。市場がパニックに陥り、誰もが株を投げ売りしている時こそが、彼にとって最高の「買いのシグナル」だった。

「極度の悲観」こそが親友である

地政学リスクの高まり、インフレの再燃懸念、そして中央銀行の政策転換。2026年の市場は、多くの不確実性という霧に包まれている。メディアからは連日のように悲観的な見出しが踊り、投資家のセンチメントは冷え込んでいる。

しかし、テンプルトンの教えに従えば、今のこの状況こそが「機会の入り口」かもしれない。

最も悲観的な時こそが、買うのに最高の時である。そして、最も楽観的な時こそが、売るのに最高の時である。

— Sir John Templeton

テンプルトンは、第二次世界大戦が勃発し、市場が絶望のどん底にあった1939年、ニューヨーク証券取引所で1株1ドル未満で取引されていたすべての銘柄(計104銘柄)を100ドルずつ買うという大胆な行動に出た。結果として、その多くが数年後に何倍もの利益をもたらした。

筆者の見立て

現在の市場を「極度の悲観」と呼ぶには、一部のセクター(特にAI関連)ではまだ楽観論が残っているかもしれない。しかし、新興国市場や、見放された伝統的バリュー株の領域には、テンプルトンが愛した「バーゲン・ハンティング(安値拾い)」の機会が確実に広がっている。

「みんなが売っているから売る」という群集心理から抜け出し、冷徹に企業の本来の価値(ファンダメンタルズ)を見つめ直す。市場が恐れをなしている時こそ、我々は最も冷静な分析者でなければならない。

悲観の中で何を買うべきか

テンプルトンは単なる逆張り投資家ではない。彼が探していたのは、「不当に安く放置されている優良企業」だ。

彼のアプローチは徹底的なボトムアップのファンダメンタル分析に基づいていた。現在の市場で言えば、マクロ経済のノイズによって過剰に売り込まれているが、強固なバランスシートと安定したキャッシュフローを持つ企業群がターゲットになるだろう。

「価格が安い」というだけでは不十分だ。「価値に対して価格が著しく安い」ことが絶対条件である。

市場全体が悲観の底に沈む時、恐怖に打ち勝ち、独自の調査に基づいた確信を持って投資を実行できるか。テンプルトン卿の哲学は、時代を超えて我々にその覚悟を問いかけている。