「我々は未来を正確に予測することはできない。しかし、自分が今サイクルのどこにいるかを知り、それに備えることはできる」

ウォーレン・バフェットが「彼からのメール(メモ)が届いたら、真っ先に開いて読む」と絶賛する投資家、オークツリー・キャピタル・マネジメントのハワード・マークス。彼の投資哲学の中心にあるのが「市場サイクルの理解」である。

振り子は決して中央で止まらない

マークスによれば、市場は決して「適正価格」という中央の位置で静止することはない。それは常に、極端な楽観(バブル)と極端な悲観(暴落)の間を、振り子のように大きく行き来している。

市場の振り子が極端に振れた時、多くの人は『今回は違う、このトレンドは永遠に続く』と思い込む。しかし歴史上、重力に逆らって永遠に振り切れたままの振り子は存在しない。必ず、反対方向への強烈な揺れ戻し(リバーサル・トゥ・ミーン)が起こる。

— Howard Marks

2026年の市場環境を考える時、我々は自問しなければならない。現在の市場の振り子は、恐怖と強欲のどちらに振れているのか?投資家たちはリスクを恐れているか、それともリスクを軽視してリターンを追い求めているか?

筆者の見立て

マークスのアプローチが優れているのは、「来年の金利が何パーセントになるか」といった不可能なマクロ予測を捨てている点だ。彼は単に「現在の市場の温度」を測ることに全力を注ぐ。

もし周りの人間が皆「株を買えば絶対に儲かる」と信じて疑わず、借金をしてまで投資をしている(振り子が強欲に振れ切っている)のなら、我々が取るべき行動は一つ、「リスクを減らし、防御を固める」ことである。逆に、皆が絶望して優良な資産を投げ売りしているのなら、攻撃に転じる時だ。

「第二層の思考」を持て

市場サイクルを見極めるためには、大多数の投資家と同じように考えていてはならない。マークスはこれを「第二層の思考(Second-Level Thinking)」と呼ぶ。

第一層の思考は「良い会社だから買おう」と考える。しかし第二層の思考は「良い会社だが、皆がそう思って買っているため株価が割高になっている。だから売ろう」と考える。

サイクルの極点において、市場のコンセンサスは常に間違っている。自分が今サイクルのどこにいるかを冷静に測り、群集心理の逆を行く「第二層の思考」を持つこと。それこそが、サイクルを生き延び、卓越したリターンを上げるための唯一の方法である。