「2018年から2020年にかけて、バリュー投資は史上最悪のパフォーマンスを記録した。クライアントは解約し、メディアは『バリューは死んだ』と報じた。しかし我々は戦略を変えなかった。なぜなら、歴史が教えてくれるのは、最も辛い時期の後に最も大きなリターンが来るということだからだ」
クリフ・アスネスは、2018-2020年のバリュー投資の「冬の時代」を生き延びた数少ないファンドマネージャーの一人だ。運用資産は一時980億ドルから400億ドルまで半減したが、戦略を変えなかった。
バリュー投資の冬(2018-2020年)
バリュー株とグロース株のスプレッド(割安度の差)は、2020年3月にドットコムバブル以来の最大に達した。つまり、バリュー株はかつてないほど割安で、グロース株はかつてないほど割高だった。この時に「バリューは終わった」と判断するのは、歴史を無視することと同義だ。
バリュー vs グロース(2018-2020年):
- Russell 1000 Value: +6%
- Russell 1000 Growth: +65%
- 差異: 約60%ポイント(バリューが大幅劣後)
しかし2021-2023年にバリューは逆転した。
「戦略の忍耐」が報われた瞬間
2021年後半からのインフレ上昇と金利上昇は、バリュー株にとって最高の追い風になった。グロース株(特にテック)はPERの縮小で大幅下落する一方、バリュー株(金融、エネルギー、素材)は相対的に堅調だった。
- 2022年のRussell 1000 Value: -8%
- 2022年のRussell 1000 Growth: -29%
- AQRのファンドは2022年に+43.5%——ヘッジファンド業界トップのパフォーマンス
アスネスの教訓は、すべての個人投資家にとって最も重要なものの一つだ:良い戦略を、悪い時期にも維持する規律。
多くの個人投資家が犯す最大のミス:
- 戦略の頻繁な変更: 今月はバリュー、来月はグロース、再来月はコモディティ——これでは手数料だけが積み上がる
- ピーク時に参入、底で撤退: 「みんなが儲かっている」と聞いてから参入し、暴落で損切り
- 短期のパフォーマンスで判断: 3ヶ月の成績で戦略の良し悪しを判断するのは統計的に無意味
アスネスに学ぶ「規律のルール」:
- 戦略を変える最短期間は3年。3年未満のパフォーマンスで判断しない
- 毎月の成績をチェックしすぎない。四半期に1回で十分
- 自分の戦略が「なぜ」機能するかを言語化しておく。理論的な根拠があれば、不調時にも信念を維持できる
Twitterの論客
アスネスはX(旧Twitter)で最もアクティブなヘッジファンドマネージャーの一人だ。学術論文の引用とウィットに富んだ皮肉を織り交ぜた投稿で、投資コミュニティで大きな影響力を持つ。
「SNSで自分の考えを公開するリスクはある。しかし、知的な議論は閉じた部屋よりもオープンな場所で行われるべきだ」