「ウォール街の常識は『卵を一つのカゴに盛るな(分散投資せよ)』だ。しかし、真の莫大なリターンを上げる投資家のアプローチは全く逆だ。卵をすべて一つのカゴに盛り、そのカゴから絶対に目を離すな」

ジョージ・ソロスの右腕としてクォンタム・ファンドを指揮し、30年間で平均年利30%という空前絶後のリターンを叩き出したスタンレー・ドラッケンミラー。彼は、教科書通りの「分散投資」を真っ向から否定する。

分散投資は「無知のヘッジ」である

ドラッケンミラーによれば、何十もの銘柄に少しずつ投資する分散投資は、自分が何に投資しているか理解していない「無知」をカバーするための保険に過ぎない。

最高の投資アイデアというものは、1年に1つか2つしか見つからないものだ。もしあなたが『絶対に勝てる』と確信できるテーマを見つけたのなら、なぜそこに全力で資金を投じないのか? 7番目や8番目に良いアイデアに資金を分散させることは、最高のリターンを自ら捨てる行為だ。

— Stanley Druckenmiller

1992年のポンド危機の際、彼はイギリスの通貨ポンドが暴落することを確信し、ファンドの全資産を超えるレバレッジをかけてポンドを空売りした。結果として彼らは10億ドル以上の利益を上げ、「イングランド銀行を打ち破った男」として歴史に名を刻んだ。

筆者の見立て

「卵を一つのカゴに盛る」という行為は、単なるギャンブルではない。それは、そのカゴ(投資先)について誰よりも深く調査し、マクロ経済の動向を完全に把握し、変化があれば1秒で逃げ出せる準備ができている(死ぬ気で見張っている)プロフェッショナルだけに許された特権だ。

我々個人投資家がこの哲学から学ぶべきは、「自信のない多数の銘柄を持つくらいなら、徹底的に調べ上げた少数の銘柄に集中せよ」という教訓である。

損切りの圧倒的なスピード

集中投資を行う上で最も重要なスキルが「間違いを認めるスピード」だ。ドラッケンミラーは、自分の仮説が間違っていたと気づいた瞬間、ためらうことなく、そして感情を一切交えずに即座にポジションを損切りする。

「投資において一番大切なのは、正しいか間違っているかではない。正しい時にどれだけ大きく稼ぎ、間違った時にどれだけ損失を小さく抑えるかだ」。

確信が持てる時だけ大きく賭け、間違えたら即座に撤退する。この野生の肉食獣のような狩りのスタイルこそが、彼をウォール街の頂点に立たせている。