「多くのアナリストは、企業の業績(アーニングス)ばかりを見ている。しかし、市場全体の大きなトレンドを動かしているのは業績ではない。流動性(リクイディティ)だ」

スタンレー・ドラッケンミラーの投資哲学の根幹には、常に「中央銀行(特にFRB)の動き」がある。彼は、金融市場における最強のプレイヤーは投資家ではなく、お金を刷る権利を持つ中央銀行であることを誰よりも理解している。

お金の流れ(蛇口)を見よ

ドラッケンミラーによれば、株式市場や債券市場が上昇するか下落するかは、シンプルに「市場にどれだけのお金が供給されているか(蛇口が開いているか)」によって決まる。

中央銀行が金融緩和を行い、システムに大量の資金(流動性)を注入している時、それに逆らって市場を空売りするのは自殺行為だ。逆に、彼らが蛇口を閉め、流動性を吸収し始めた時、過去の好業績を信じて株を買い持ちし続けるのは愚かである。

— Stanley Druckenmiller

彼は、個別の企業がどれほど素晴らしい製品を作っていようと、マクロの流動性が枯渇すれば、その企業の株価も全体相場と共に引きずり下ろされると警告する。「潮が引けば、すべての船は沈む」のだ。

筆者の見立て

現在の相場環境を考える時、我々は「Appleの次のiPhoneが売れるか?」を予想する前に、「FRBは現在、市場からお金を吸い上げているのか、それともばら撒いているのか?」を確認しなければならない。

ドラッケンミラーがマクロ投資で圧倒的な成績を残せたのは、彼が「ミクロ(企業業績)」のノイズに惑わされず、常に「マクロ(流動性)」という巨大な水脈の動きだけを追いかけ続けたからだ。

中央銀行の意図を先読みする

「投資で勝つためには、現在のデータを見るのではなく、未来の流動性がどう変化するかを予測しなければならない」。

インフレ率、失業率、そして政治的な圧力。これらの要素が中央銀行の次の行動をどう変えるのか。ドラッケンミラーは常にFRBの議長の頭の中を読み、彼らが政策を変更する「直前」にポジションを構築する。

「Don’t fight the Fed(FRBに逆らうな)」。この古典的なウォール街の格言を、彼は誰よりも深く、そしてアグレッシブに実践しているのである。