「コモディティのスーパーサイクルは始まったばかりだ。過去20年間、原油、金属、農産物への設備投資は激減した。供給は減っているのに需要は増え続けている。これは価格が上がる以外に結末のない方程式だ」
ジム・ロジャーズは2000年代初頭からコモディティの強気論を唱え、Rogers International Commodity Index(RICI)を設計した。彼のコモディティ投資への情熱は、ウォール街では異端視されたが、2000-2008年のスーパーサイクルで正当性が証明された。
コモディティ・スーパーサイクルとは
ロジャーズが定義する「スーパーサイクル」は、18-25年続く長期的な価格上昇トレンドだ。過去のサイクル:
- 1906-1923年: 第一次世界大戦による需要増
- 1933-1953年: 第二次世界大戦と戦後復興
- 1968-1982年: オイルショックとインフレ
- 1999-2008年: 中国の工業化と新興国の台頭
- 2020年-現在: 脱炭素化、脱グローバリゼーション、供給不足
コモディティの弱気市場は通常20年続く。その間、生産者は設備投資を削減し、鉱山は閉鎖され、農家は離農する。すると供給が構造的に不足し、次の強気市場が始まる。我々は今、まさにその転換点にいる。
「農業が最もセクシーな産業になる」
ロジャーズが最も強気なのは農業セクターだ。
- 世界人口は2023年の80億人から2050年に97億人に増加
- 耕作可能面積は減少傾向(都市化、砂漠化)
- 農家の平均年齢は先進国で60歳を超え、後継者不足が深刻
- 水資源の枯渇が灌漑農業を脅かす
「30年後、ランボルギーニを運転しているのは投資銀行家ではなく農家だ。食料を生産できる人間が、最も価値のある人材になる」
ESGが生んだ「供給の崖」
ロジャーズはESG(環境・社会・ガバナンス)投資ブームの副作用を指摘する。化石燃料への投資が「悪」とされた結果、新規の油田開発や鉱山開発が激減した。
- 石油メジャーの設備投資: 2014年のピーク比-40%
- 銅の新規鉱山プロジェクト: 承認数が過去10年で最低水準
- しかし銅の需要はEVと再エネで急増(EV1台に従来車の4倍の銅が必要)
「ESGが化石燃料への投資を止めさせたが、需要は止まらなかった。供給不足は人為的に作られたものであり、これがコモディティ価格を構造的に押し上げる」
ロジャーズのコモディティ強気論は、2023-25年の金価格急騰、原油価格の底堅さを見る限り、方向性は正しかったと言える。
日本の個人投資家がコモディティに投資する方法:
- 金ETF(1540、GLD): 最も手軽。インフレヘッジとして5-15%のポートフォリオ配分
- コモディティインデックスETF(DJP、GSG): 分散されたコモディティ・バスケット
- 資源株(三菱商事、三井物産、BHP): コモディティ価格上昇の恩恵を株式で享受
- 農業関連ETF(DBA): ロジャーズが最も強気な農業セクターに直接投資
注意点:コモディティは価格変動が大きく、先物のコンタンゴ(期先高)による減価リスクもある。ポートフォリオの10-20%以内に留めるのが賢明だ。
「誰もが無視する資産を買え」
ロジャーズの投資哲学の核心は、群衆の反対側に立つことだ。「もし全員がコモディティを買っているなら、もう遅い。もし誰も見向きもしていないなら、それが買い時だ」
2020年のコロナショック時、原油先物は史上初のマイナス価格を記録した。多くの投資家がパニックに陥る中、ロジャーズの哲学に従えば、それは「一生に一度の買い場」だった。