「若い投資家は最もリスクを取れる立場にいる。だから最もボラティリティの高い資産に投資すべきだ。ビットコイン、イーサリアム、AIスタートアップ——これらは-80%暴落するが、その後10倍になる。ボラティリティは敵ではない、買うべき資産なのだ」
ボラティリティ(価格の変動率)は、伝統的な金融理論では「リスク」と同義であると教えられる。価格が上下に激しく動く資産は危険であり、避けるべきだというのが一般的な教科書の教えだ。しかし、ラウル・パルは全く逆のアプローチを提唱する。
ビットコインは過去13年間で4回の-80%暴落を経験した。しかし、ビットコインを2013年に1万円分買って持ち続けた人は、2024年時点で数百万円になっている。ボラティリティは痛いが、長期的なリターンの最大の源泉だ。
リターンはボラティリティからしか生まれない
パルによれば、投資において「安全な資産(ボラティリティの低い資産)」は、インフレ率をわずかに上回る程度のリターンしか生まない。もしあなたが人生を変えるようなリターン(10倍、100倍)を望むのであれば、数学的に考えて「激しく変動する資産(ハイ・ボラティリティ)」を長期保有するしか方法はないのだ。
特に、テクノロジー株や暗号資産は、成長の過程で何度も強烈な調整(ドローダウン)を経験する。この「-80%の暴落」に耐えうるメンタルと時間軸を持っている投資家だけが、その後の「1000%の暴騰」という果実を手にすることができる。
年齢とリスク・バジェット(許容度)
ボラティリティを味方につける戦略において、パルは「年齢(投資期間)」を最も重要な要素として挙げている。
- 20代〜30代: 人生における人的資本(これから稼ぐ能力)が最大であるため、金融資本は最もリスクを取るべき時期。ポートフォリオの30〜50%を高ボラティリティ資産(暗号資産、ハイパーグロース株)に配分しても、万が一ゼロになった時に労働でリカバリーできる。
- 40代〜50代: 資産形成の中盤。高ボラティリティ資産を10〜20%に縮小し、インデックスや優良株、債券の比率を高め、資産を守りながら増やす。
- 60代以降: 投資期間が短いため、高ボラティリティ資産は5%以下に限定。配当株や債券などのキャッシュフロー重視のポートフォリオへ移行する。
パルの「ボラティリティ購入」論は、日本の個人投資家、特に若い世代にとって非常に強力な武器となる。日本の新しいNISA(少額投資非課税制度)では、利益に対する税金が恒久的にゼロとなる。この枠組みの中で「低リスク・低リターン」の債券などを買うのは、非課税メリットを自ら捨てるようなものだ。
もしあなたが20代や30代で、今後20年以上の投資期間を持てるのであれば、NISA枠を使ってNASDAQ100などのハイボラティリティなインデックス、あるいはボラティリティの高いテック株を長期保有することが、複利効果と非課税メリットを最大化する合理的戦略となる。
ただし、パルが警告するように、ボラティリティは「痛みを伴う」。-50%の下落を見た時にパニックになって売ってしまうのであれば、この戦略は絶対に実行すべきではない。「下がった時こそ、自分が正しいリスクを取っている証拠だ」と笑える精神力を持てるかどうか。それが、ボラティリティを利益に変えられる投資家と、市場の養分になる投資家を分ける境界線である。