「BRICS諸国が金を裏付けとする決済通貨を創設すれば、それはドル基軸通貨体制の終わりの始まりだ」

2024年初頭、マクラウドはBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の拡大と、金本位的な新通貨構想の進展に注目していた。2024年1月にサウジアラビア、UAE、エジプト、イランなど6カ国がBRICSに正式加盟し、陣営は急速に拡大していた。

ペトロダラーの終焉?

マクラウドが注目するのは、サウジアラビアのBRICS加盟だ。1974年以降、サウジは原油をドル建てで販売するという「ペトロダラー協定」を維持してきた。しかし、サウジはすでに中国向けの原油一部を人民元建てで決済し始めている。

ペトロダラー・システムは、ドル需要を構造的に支えてきた。世界が原油を買うためにドルが必要だったからだ。このシステムが崩れれば、ドルに対する構造的な需要が消失する。それは金利上昇とドル安の同時進行を意味する。

— Alasdair Macleod, 2024年2月

中央銀行の金購入が証拠

マクラウドは、中央銀行の金購入急増を「脱ドル化の証拠」として引用する。

  • 2022-2023年の中央銀行金購入量: 合計2,100トン以上(過去最高)
  • 中国の金準備: 2,245トン(公式発表、実態はさらに多い可能性)
  • ロシアの金準備: 2,330トン(外貨準備の25%以上)

「中央銀行が金を買い増しているのは、彼ら自身がドル・システムの寿命を認識しているからだ」

筆者の見立て

マクラウドの「ドル覇権の終焉」論は長年言われてきたが、実現の兆候はまだ限定的だ。ドルは依然として世界の外貨準備の55%を占め、国際決済の40%以上で使用されている。代替通貨(人民元)はまだ5%にも満たない。

しかし、方向性は明確に変化している。10年前にはBRICS通貨構想は笑い話だったが、2024年には真剣な政策議論になっている。

日本への影響:日本はドル基軸通貨体制の最大の受益者の一つだ。貿易決済、外貨準備、米国債投資——すべてがドル・システムに依存している。もしこのシステムが変容すれば、日本の対外資産の価値も変動する。

長期的な分散(金、非ドル通貨建て資産)は、保険として合理的だ。

「信用」と「金」の永遠の戦い

マクラウドの世界観は、結局「信用(credit)vs 金(gold)」という対立軸に帰結する。近代金融システムは信用の上に構築されている。銀行は預金の何倍もの融資を行い、政府は税収の何倍もの債務を抱える。この信用の膨張が限界に達したとき、最後の砦となるのが金だ——というのがマクラウドの信念だ。

「歴史は信用の敗北で終わる。金はいつもその場に残っている」